手術に伴う合併症

手術は安全なの?大丈夫なの?と思われる方もおられるかと思います。

小さい傷ですが、体にメスを入れる行為ですので100%安全とは言い切れません。それはどんな小さな処置にもいえることです。

実際、腹腔鏡下ヘルニア根治手術はあまり合併症のない手術なのですが、以下のような合併症がまれに発生します。

1 そけい(鼡径)部の水の貯留

一番多いのはそけい部(手術した場所)に水が貯まることです。特に大きな鼡径ヘルニアの患者さんで多く発症します。格別、痛くも痒くもありません。自然に水が吸収されることも多いです。たまった水が多いと判断した場合(卵の大きさくらいに腫れた患者さん)は週に1回程度外来で水を抜く処置が必要なこともありますが、1か月程度で左右差はなくなります。

2 傷の部分や手術した場所の出血

術中、出血はほとんどない手術で、術後にも出血はほとんどありません。ただし心臓疾患をお持ちの患者さんや脳梗塞の患者さんで、血をサラサラする薬(抗凝固薬)を飲まれている患者さんには術後出血するリスクがあります。

3 メッシュの感染

そけい(鼡径)ヘルニアは日本で年間10万例以上手術が行われているとされています。腹腔鏡手術、鼠径部を切開してやる手術、いずれもメッシュを用いて行います。つまり年間10万人以上の患者さんにメッシュが留置されていることになります。その留置したメッシュに感染が起こることがあります。腹腔鏡を用いた鼠径ヘルニア根治術におけるメッシュ感染の発生率は0.01% 、つまり1万人に1人と報告されており、非常に稀な合併症だとお分り頂けると思います(日本内視鏡外科学会:内視鏡外科手術に関するアン ケート調査―第 13回集計結果報告.日鏡外会誌 21 : 683, 2016)。

ただメッシュ感染が起きると、鼠径部の痛み、腫れ、発熱などの症状が出現します。抗生剤投与、局所麻酔下に鼠径部を切開し貯まった膿を排出する処置などを行います。それでも治癒しなければ再手術(メッシュ除去術)が必要なことがあります。

4 そけいヘルニアの再発

腹腔鏡を用いた鼠径ヘルニア手術の再発率は約3%と言われています(日本内視鏡外科学会:内視鏡外科手術に関するアン ケート調査―第 13回集計結果報告.日鏡外会誌 21 : 683, 2016)。

幸い当院では腹腔鏡下ヘルニア手術で最近3年間再発は認めておりません。

これからも再発0(ゼロ)を目指して細心の注意を払いながら手術を行います。

 

はっきり言えることは、そけい(鼠径)部を腫れたまま、膨れたまま放置をすることの方が、これからの生活においてリスクがあるということです。

当院では90歳以上のそけい(鼠径)ヘルニア患者さんも手術を行っています。

何か手術に対し不安なことがあれば、いつでもご相談下さい。