腹臥位CTによる鼠径ヘルニアの診断

鼠径ヘルニアの症状は“鼠径部の腫れ”です。当然患者さんも、鼠径部が腫れたと言って来られるかたが多いです。しかし実際、外来で診察した時には腫れていないこともあります。この場合CTやエコーなど画像検査を追加します。これらの検査で鼠径ヘルニアの所見がなければ経過観察することになります。患者さんの中には、普段の生活では実際に腫れている方もいるかもしれません。

今回読んだ論文は腹臥位(腹ばい)でCTを撮影すると鼠径ヘルニアの診断率が上がるというものでした。一般的にCTは仰臥位(背中を下にして)撮影します。

お腹と大腿部に枕を置いて腹ばいにしてCT撮影を行うのです。

79人の鼠径ヘルニアの患者さんで調べました。79人のうち両側が8人おられたので 71 (片側の人数)+ 8(両側の人数)x2=87の腹腔強下鼠径ヘルニア手術を行いました。87の手術部位のうち、臨床的に鼠径部が腫れていたのが84部位で3部位は臨床的に腫れていないがCT、術中所見である程度の大きさがあったので手術を行いました。腹臥位CTではこの84部位全てが指摘できましたが、仰臥位CTでは、臨床的に鼠径部腫脹があるにも関わらず55部位(65.5%)しか指摘できませんでした。つまりお腹を上にして横になることでヘルニアが引っ込んでしまうのです。更に腹臥位CTではヘルニアのタイプ(内鼠径ヘルニアか、外鼠径ヘルニアか、混合型か)の診断も96.4%で可能であったそうです(仰臥位CTでは58.3%)。我々もよく経験するのですが臨床的には腫れていないが、腹腔鏡で観察すると反対側にも小さな鼠径ヘルニアを認めることがあります(小さいものは基本的には経過観察とします)。本論文でも22部位の臨床的には腫れていな鼠径ヘルニアが腹腔鏡で指摘されました。そのうち19部位(86.4%)を腹臥位CTで指摘でき、ヘルニアタイプも77.3%で診断できたそうです(仰臥位ではそれぞれ36.4%と27.3%)。

上を向くか、下を向くかの違いだけで患者さんには負担はかかりません。

今後、当院でも腹臥位CTの導入を考えています。

 

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