鼠径ヘルニア手術に使用するメッシュ

鼠径ヘルニアの手術では鼠径部切開法、腹腔鏡手術のいずれにおいてもメッシュを用いた手術が主流となっています。日本では10万例/年の鼠径ヘルニア手術が行われているのでそれだけ医療用のメッシュも使用されていることになります。メッシュにも色々種類がありますがポリプロピレン製のメッシュが多く使用されています。ポリプロピレンはいわゆるプラスチックです。

こういうのを使用します。医療用メッシュはおおよそ2万〜3万円といったところでしょうか?

2014年のNew England Journal of Medicineという、権威の高いジャーナルに低価格メッシュと医療用メッシュで術後再発率、術後合併症に差がないという論宇が掲載されていました。

低価格メッシュとは(;゚ Д゚)ゴクリ

蚊帳です。網戸でもいいのかもしれません。素材は医療用メッシュと同じ、ポリプロピレンです。価格は1ドル。ホームセンターに売っているような網戸を滅菌して使用します。

研究グループは、ウガンダ東部で、初発片側還納性鼠径ヘルニアの成人男性患者302例を対象に、二重盲検無作為化比較試験を行い、低価格メッシュと医療用メッシュによる修復の治療アウトカムを比較しました。
ウガンダにも蚊は多いのでしょう。

ヘルニア再発率は、低価格メッシュ(蚊帳)群0.7%(1例)、医療用メッシュ群0%(0例)と、両群で有意差はありませんでした。また、術後合併症の発症率も、蚊帳メッシュ群30.8%(44例)、医療用メッシュ群は29.7%(44例)と同等でした。

日本ではいかに医療用のメッシュが高価だからといってホームセンターで売っている網戸を滅菌してヘルニア手術に使用することはできません。ただ医療物資の乏しい国では(その国の医療に関する法律にもよりますが)、代替として網戸をヘルニアに使用しても問題ないようです。

1年の追跡期間で、蚊帳メッシュ群で2人(1.4%)、医療用メッシュ群で3人(2.0%)の死亡が認められました。詳細は書かれていないのですが、おそらくヘルニア手術とは関連はないと思います。平均寿命も日本のように長くない国ですのでおそらく感染症などで亡くなったのでしょう。

Discussionで興味深かったのがウガンダなどのアフリカ国家ではヘルニア手術の40%が急患(つまり、嵌頓やイレウスになってから病院に行くということでしょう)で、多くが外科医ではない医者が取り扱っているようです。

アフリカの医療事情の厳しさも理解できる論文でした。

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